単語帳のtakeの欄には、取る・持っていく・連れていく・時間がかかる・乗る・飲む・撮る、と7つも8つも並んでいます。中学で習う単語なのに、It takes 20 minutes. がなぜ「かかる」になるのか、説明された記憶がありません。
私はこれを、takeが「意味が多い単語」だからだと思っていました。違いました。takeの意味は1個です。「自分で選んで、自分の側へ引き寄せる」。訳が7つに見えるのは、何を引き寄せるかが違うだけでした。
7つの訳を1個に戻すとこうなる
引き寄せるものが「物」なのか「時間」なのか「言葉」なのかで、日本語の訳が変わります。
| 訳 | 何を引き寄せるか | 例 |
|---|---|---|
| 取る・手に取る | 物を、自分の手へ | Take this pen. |
| 持っていく・連れていく | 物や人を、自分と一緒に | Take an umbrella. |
| (乗り物に)乗る | 手段を、選んで自分の側へ | I take the train. |
| (時間が)かかる | 時間を、こちら側で使う | It takes 20 minutes. |
| (薬を)飲む | 薬を、体の中へ | Take this medicine. |
| (写真を)撮る | 目の前の景色を、自分の側へ | Take a picture. |
| 受け止める | 言葉を、自分の側へ | Don’t take it personally. |
縦に読むと、全部「向こうにあったものを、自分の側へ引き寄せた」話です。引き寄せるものが違うだけで、動きは1個しかありません。
「取る」と訳すと、半分ずれる
takeを「取る」だけで覚えていると、「持っていく」が出てきた時点で行き止まりになります。日本語の「取る」はその場で手に取って終わりですが、takeは取ったあと、それが自分と一緒に動きます。
- Take an umbrella. 傘を手に取って、そのまま持って出る。だから「持っていく」
- I’ll take the kids to school. 子どもを自分の側に引き寄せて、一緒に学校まで動く。だから「連れていく」
- I’ll take it. 店で言えば「これにします」。選んで自分の側に引き寄せるのがtakeなので、買うという訳語は要りません
ここに「自分で選んだ」が入っているのがtakeの特徴です。選んでいないものが自分の側に来るのは、takeではなくgetです。I got a cold.(風邪をひいた)は言えますが、I took a cold. とは言いません。風邪を選んで引き寄せた人はいないからです。
getの側から見た同じ話はgetが「手に入れる」と「着く」と「分かる」で同じ理由に書いています。
「時間がかかる」がいちばん遠く見える
It takes 20 minutes. だけは、どうやっても「取る」と繋がらないように見えます。ここが最後の壁でした。
繋がります。その作業が、20分ぶんの時間をこちら側へ引き寄せて使ってしまう、という意味です。時間は向こうから勝手に減るのではなく、その作業が持っていく。だから主語が it(=その作業)になります。
- It takes 20 minutes to get there. そこへ行くのに20分を持っていかれる
- It takes courage. 勇気が要る(勇気の分を持っていかれる)
- Take your time. 時間をあなたの側で使っていいですよ=ゆっくりどうぞ
Take your time. が「あなたの時間を取れ」に見えるうちは、訳で読んでいます。「自分の側へ引き寄せる」で読むと、時間の使い道をあなたに渡す言い方だと分かります。
実際の文で見る
- Take a seat. どうぞ座ってください(席を自分の側に取る)
- This seat is taken. この席はふさがっています(もう誰かが引き寄せたあと)
- Don’t take it personally. 個人的に受け取らないで(その言葉を自分の側へ引き寄せないで)
- Take a look at this. これ見て(一目を自分の側へ取り込む)
- What do you take me for? 私を何だと思ってるの(私をどう受け取っているの)
- Take care. 気をつけて(注意を自分の側に持っていって)
Take care. と Don’t take it personally. は、訳を覚えていないと出てきません。1個の動きで読めば、どちらも「自分の側へ引き寄せる」でそのまま通ります。
間違えやすいところ
take と bring は「どっちから見ているか」が違うだけ
どちらも「持っていく/持ってくる」で覚えると必ず混ざります。動き自体は同じで、話し手がどこに立っているかだけが違います。
- take 今いる場所から、離れていく向き → I’ll take it to the office.(会社へ持っていく)
- bring 今いる場所へ、近づいてくる向き → Bring it to my desk.(私の机へ持ってきて)
パーティーの案内文で Bring your own drink. と書いてあるのは、書いた人が会場側に立っているからです。同じ行動でも、行く側から言えば take になります。
take a shower と have a shower
意味は同じで、アメリカ英語が take、イギリス英語が have です。どちらでも通じます。take a break / take a walk / take a rest も同じ形で、「その行動を1回ぶん、自分の側に取る」という言い方です。
過去形と過去分詞
take – took – taken です。taked とは絶対になりません。受け身の taken は「もう引き寄せられたあと」なので、This seat is taken.(ふさがっている)のように状態を指します。
take が入っている表現は、まとめて読める
1個の動きが入っていれば、あとは前置詞の分を足すだけです。
- take off 引き寄せて接触から離す → 脱ぐ・離陸する
- take out 外へ引き出す → 取り出す・持ち帰る・(人を)連れ出す
- take in 中へ取り込む → 理解する・(服を)詰める・だます
- take up 手に取って始める → 始める・(場所や時間を)占める
- take over 越えてこちら側へ引き取る → 引き継ぐ
- take back 元へ引き戻す → 撤回する・返品する
- take after 後を追う形で受け継ぐ → 似ている
take off だけは1本記事にしています。離す対象が服なら脱ぐ、飛行機なら離陸する、売上なら急に伸びる、になる話です。take off|脱ぐ・離陸する・急に売れるが同じ理由
take の意味は、辞書を並べれば自分で1個に戻せます。戻せないのは音のほうです。
日本語の「テイクアウト」は、テ・イ・ク・ア・ウ・ト で6拍あります。英語の takeout は2拍です。カタカナのまま言うと、単語は合っているのに拍の数が3倍になって、相手の耳が言葉として拾えません。通じない原因は単語ではなく、長さのほうにあります。Take a look. が「テイカルック」に聞こえるのも同じ理由で、take と a がくっついて1つの塊になっています。ここは文字を見ても直りません。
発音だけを見るスクールは何社かあって、料金も、どこまで見てくれるかも違います。先に決めるのは料金ではなく、自分がどこで止まっているかのほうです。発音矯正スクールを「どこで止まるか」で比べる|料金表より先に自分の段階を決めるに、料金と期間をまとめてあります。
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よくある質問
take と get の違いが結局よく分かりません
自分で選んだかどうかです。takeは選んで引き寄せる、getは「ない→ある」へ移るだけで、選んでいなくても構いません。だから風邪や電話は get、電車や席は take になります。I got the train. も間違いではありませんが、「乗れた」に近い意味になります。
take it easy はどういう成り立ちですか
「それを easy な形で受け取れ」です。受け止め方を自分で選べる、という言い方になっています。Take it easy. が「気楽にね」にも「じゃあね」にもなるのは、そのまま別れ際の一言として定着したからです。
訳が7つもあるのに、本当に1個で足りますか
読むときは足ります。ただし書くときは足りません。1個の動きは「意味を取る」ための道具で、どの場面で実際にtakeが選ばれるかは、聞いて覚えるしかない部分が残ります。
take と have はどう使い分けますか
takeは引き寄せる動き、haveは持っている状態です。take a break は「休憩を1回取る」、have a break は「休憩を持っている」。動きを言いたいときが take です。
同じやり方で見た他の単語
- get|手に入れる・着く・分かるが同じ理由
- put|置く・入れる・言い表すが同じ理由
- have|持っている・食べる・してもらうが同じ理由
- make|作る・させる・成立させるが同じ理由
- come|来る・行く・浮かぶが同じ理由
- go|行く・〜になる・鳴るが同じ理由
- turn|回す・曲がる・〜になるが同じ理由
- give|あげる・渡す・放つが同じ理由
- keep|保つ・飼う・〜し続けるが同じ理由
- hold|つかむ・開催する・待つが同じ理由
- set|置く・沈む・固まるが同じ理由
- run|走る・経営する・流れる・立候補するが同じ理由
- spring|春・バネ・泉が同じ理由
- present|贈り物・現在・出席が同じ理由
- hot|熱い・辛い・人気が同じ理由
- put on|着る・太る・音楽をかけるが同じ理由
- take off|脱ぐ・離陸する・急に売れるが同じ理由
- get over|乗り越える・回復する・忘れるが同じ理由
まとめ
takeの意味は「自分で選んで、自分の側へ引き寄せる」の1個です。取るは物を引き寄せる、持っていくは引き寄せたまま動く、乗るは手段を選ぶ、時間がかかるは時間を持っていかれる。引き寄せるものが違うだけで、動きは変わっていません。
やり方の全体と、他にどの単語を調べる価値があるかは英単語のコアイメージとは|意味を4つ覚えるのをやめて、1個の動きに戻すにまとめています。基本動詞12個の早見表も置いてあります。


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