単語帳のgetの欄には、手に入れる・着く・理解する・〜になる・〜させる、と5つも6つも並んでいます。中学で最初に習う単語なのに、文の中で出てくると意味が取れない。私はこれを長いあいだ、getが「いろんな意味を持つ特別な単語」だからだと思っていました。
違いました。getの意味は1個です。「ない状態から、ある状態へ移る」。訳が6つに見えるのは、何が移るかが違うだけでした。
6つの訳を1個に戻すとこうなる
移るものが「物」なのか「自分」なのか「状態」なのかで、日本語の訳が変わります。
| 訳 | 何が移るか | 例 |
|---|---|---|
| 手に入れる | 物が、自分のところへ | I got a new phone. |
| 着く・到着する | 自分が、その場所へ | I got home at 8. |
| 理解する | 意味が、自分の中へ | I got it. |
| 〜になる | 自分の状態が、別の状態へ | I got tired. |
| 〜させる | 相手の状態が、別の状態へ | I got him to help. |
| 買う | 物が、店から自分へ | I’ll get two coffees. |
縦に読むと、全部「なかった状態から、ある状態へ移った」話です。移動の主語が違うだけで、動きは1個しかありません。
「もらう」と訳すと、半分ずれる
getを「もらう」で覚えている人は多いのですが、ここが最初のつまずきです。getには「自分が動いて取りに行く」が入っています。
もらうだけなら receive です。receive は向こうから来たものを受け取るだけで、自分は動いていません。getは、自分の側に移動が起きています。
- I received a letter. 届いた。自分は何もしていない
- I got a letter. 手元に来た。取りに行ったかもしれないし、届いたのかもしれない
- Can you get the door? ドアを「もらう」ではありません。ドアのところまで行って開ける、です
Can you get the door? が「ドアを取れますか」に見えるうちは、訳で読んでいます。「ない状態から、ある状態へ移る」で読むと、閉まっている→開いている、へ移す話だと分かります。
実際の文で見る
- I didn’t get the joke. 冗談が分からなかった(意味が自分の中へ移ってこなかった)
- It’s getting dark. 暗くなってきた(明るい→暗いへ移っている途中)
- I need to get my hair cut. 髪を切ってもらう必要がある(切っていない→切った、へ移す)
- How do I get to the station? 駅へはどう行きますか(自分が駅へ移る)
- She got promoted last month. 先月昇進した(昇進していない→した、へ移った)
- Don’t get me wrong. 誤解しないで(間違った理解へ移らないで)
最後の Don’t get me wrong. は、訳を覚えていないと出てきません。1個の動きで読めば「私を wrong な状態に移さないで」でそのまま通ります。
間違えやすいところ
have got は「持っている」であって「手に入れた」ではない
I’ve got a car. は「車を手に入れた」ではなく「車を持っている」です。移り終わったあとの状態を指しています。イギリス英語で have の代わりによく使われます。
I’ve got to go.(行かなくちゃ)も同じで、have to とほぼ同じ意味です。gotta はこれが縮んだ形です。
get + 過去分詞は「〜される」ではなく「〜な状態へ移る」
get married / get lost / get hurt。受け身の be動詞で置き換えて覚えると、動きが消えます。
- be married 結婚している(状態)
- get married 結婚する(独身→既婚へ移る瞬間)
ここが分かると、Get lost! が「迷子になれ」=「どこかへ行け」という強い言い方になる理由も見えます。
過去形と過去分詞が紛らわしい
get – got – got(イギリス)/get – got – gotten(アメリカ)です。アメリカ英語では過去分詞に gotten を使いますが、have got(持っている)のときだけは gotten になりません。I’ve gotten a car. は「手に入れた」で、I’ve got a car.(持っている)とは意味が変わります。
get が入っている表現は、まとめて読める
1個の動きが入っていれば、あとは前置詞の分を足すだけです。
- get up 上へ移る → 起きる・立ち上がる
- get on 接触した状態へ移る → (バスに)乗る
- get off 接触から離れる → 降りる
- get in 中へ移る → (車に)乗り込む・入る
- get through 通り抜けて向こうへ移る → やり遂げる・(電話が)つながる
- get along 並んで進んでいく → うまくやっていく
- get over 越えて向こう側へ移る → 乗り越える・回復する
get over だけは1本記事にしています。越える対象が病気なら回復する、失恋なら忘れる、になる話です。get over|乗り越える・回復する・忘れるが同じ理由
get の意味は、辞書を並べれば自分で1個に戻せます。戻せないのは音のほうです。
get it は「ゲット・イット」とは聞こえません。t が次の母音とつながって、日本語のラ行に近い響きになります。「ゲリッ」に近い音です。get out も同じで、「ゲラウ」のほうが実際の音に近い。移る動きが一続きなのと同じで、音も途中で切れていません。ここは文字を見ても直りません。
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よくある質問
get は使いすぎるとよくないと聞きました
書き言葉ではそう言われます。フォーマルな文章では receive / obtain / become などに置き換えます。ただし話し言葉では逆で、getを避けるほうが不自然です。まず話すために覚えるなら、getのままで問題ありません。
get と take はどう違いますか
getは「ない→ある」への移動、takeは「自分のほうへ引き寄せて取る」です。getには手に取る動作が必ずしも入っていません。I got a cold.(風邪をひいた)は言えますが、I took a cold. とは言いません。風邪を手に取ってはいないからです。
訳が6つもあるのに、本当に1個で足りますか
読むときは足ります。ただし書くときは足りません。getで言えることと、実際にネイティブがgetを使う場面は完全には一致しないからです。1個の動きは「意味を取る」ための道具で、「正しく使う」のは別の練習が要ります。
gotten と got、どちらを使えばいいですか
どちらでも通じます。迷ったら got で統一してください。イギリス英語では got が標準で、アメリカでも got は通じます。逆は少し引っかかることがあります。
同じやり方で見た他の単語
- take|取る・持っていく・時間がかかるが同じ理由
- put|置く・入れる・言い表すが同じ理由
- have|持っている・食べる・してもらうが同じ理由
- make|作る・させる・成立させるが同じ理由
- come|来る・行く・浮かぶが同じ理由
- go|行く・〜になる・鳴るが同じ理由
- turn|回す・曲がる・〜になるが同じ理由
- give|あげる・渡す・放つが同じ理由
- keep|保つ・飼う・〜し続けるが同じ理由
- hold|つかむ・開催する・待つが同じ理由
- set|置く・沈む・固まるが同じ理由
- run|走る・経営する・流れる・立候補するが同じ理由
- spring|春・バネ・泉が同じ理由
- present|贈り物・現在・出席が同じ理由
- hot|熱い・辛い・人気が同じ理由
- put on|着る・太る・音楽をかけるが同じ理由
- take off|脱ぐ・離陸する・急に売れるが同じ理由
- get over|乗り越える・回復する・忘れるが同じ理由
まとめ
getの意味は「ない状態から、ある状態へ移る」の1個です。手に入れるは物が移る、着くは自分が移る、理解するは意味が移る、〜になるは状態が移る。移るものが違うだけで、動きは変わっていません。
やり方の全体と、他にどの単語を調べる価値があるかは英単語のコアイメージとは|意味を4つ覚えるのをやめて、1個の動きに戻すにまとめています。基本動詞12個の早見表も置いてあります。


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