5年後回しにした英語が、30歳のワーホリ申請期限を奪っていく

海外留学・ワーホリ

日曜の夜23時、ベッドに寝転がってスマホを開くと、また同じ検索結果が並んでいた。「海外移住 30代 遅い」。もう何回打ち込んだか分からないこの言葉で出てくる記事は、判で押したように最初の段落で私を励ましてくる。30代は遅くない、社会経験も貯金も判断力もそろっている、むしろ移住に最も向いた年代だ、と。読んでいる10分間だけ、胸のあたりがふっと軽くなる。そして月曜の朝、目覚ましが鳴った瞬間に、その軽さはきれいに消えている。

この繰り返しを、私はもう2年以上やっている。27歳。ワーホリに行きたいと言い続けて、英語をやろうと思い続けて、営業事務の仕事に埋もれながら、日曜だけ移住ブログを開く。開いて、閉じる。その動作が習慣になってしまった自分に、正直うんざりしている。今日はその「遅くない」という慰めを一度全部ばらして、私にとって本当に効く一手だけを拾い直したい。


「遅くない」で安心する読み方が、私をいちばん先延ばしさせていた

上位に並ぶ記事を上から3本、じっくり読み比べたことがある。書いてある内容は驚くほど似ていた。年齢を否定して、30代の強みを5つ数えて、ビザの選択肢を並べて、最後に「あなたにも道はある」で締める。どれも親切だし、嘘は書いていない。読み終えると確かに肩の荷が下りる。

問題は、その肩の荷が下りた状態のまま、私が何も動かなかったことだ。むしろ逆で、「30代でも大丈夫らしい」と分かった安心が、今夜動かなくていい理由になっていた。まだ間に合うなら、疲れている今日はやめておこう。そうやって日曜の夜が積み重なって2年が過ぎた。慰めてくれる記事は、私の後回しの共犯者だったと思う。

「遅い?」と打つ指が本当に確かめたかったこと

検索窓に「遅い」と打ち込んだとき、私は年齢の答えを探していなかった。30代が移住に向いているかどうかのデータが欲しかったわけじゃない。指が確かめたかったのは、たぶん「やめてもいい理由」だった。もう無理だと誰かに言ってもらえたら、この言い続けてきた夢を、正当な理由付きで手放せる。そういう許可を探して検索していた夜が、何度もあった。

だから「遅くないですよ」と返されると、拍子抜けする。やめる許可はもらえなかった。かといって動く踏ん切りもつかない。宙ぶらりんのまま画面を閉じて、翌週また同じ言葉を打つ。この宙ぶらりんこそが、私を最も長く止めてきたものだと今なら分かる。

私が怖がっていたのは数字ではなく、使わなかった時間だった

25歳のとき、英語をやろうと決めた。その決意から数えて、もう2年が経っている。「30代は判断力も資金もそろった強い年代」と言われても、私はその強みを一度も使わずにここまで来た。判断力があるなら、なぜ2年前に動かなかったのか。資金があるなら、なぜ渡航の頭金すら貯めていないのか。記事を読むほど、遅いのは30という数字じゃなくて、動かないまま時間を溶かしてきた私自身だと気づいてしまう。

その気づきが痛いから、私は年齢の話に逃げていた。「30歳が近いから焦る」と言っておけば、動かない自分の責任がぼやける。年齢のせいにしている限り、私は自分を責めずに済む。けれどそのぼかしが、次の先延ばしを呼んでいた。


30代の移住が遅くないのは本当だ。ただし条件がひとつ抜けている

年齢の話に限れば、上位記事は正しい。30代で海外に渡る人は珍しくないし、職歴のある30代は現地の就労ビザ審査でむしろ有利に働く場面がある。営業事務で5年やってきた経理知識や書類処理のスキルは、海外の日系企業や現地企業でそれなりに評価される。20代の何もない私より、今の私のほうが職務経歴書は厚い。ここは素直に認めていい。

貯金についても、25歳の私にはワーホリの初期費用すら現実味がなかった。今は月に3万ずつでも積み立てれば、1年で36万になる計算が頭に浮かぶ。感情のコントロールも、上司に理不尽なことを言われても表情を崩さず処理できる程度には身についた。20代前半にはなかった落ち着きが、確かに私の中にある。

強みのリストには、ひとつだけ欠けている項目がある

ただ、30代の強みを数え上げる記事は、決まってある項目を書き落とす。それは「その強みを実際に使うかどうか」だ。判断力があっても、判断して動かなければ紙の上のスペックでしかない。資金力があっても、口座に3万も入っていなければただの可能性だ。私が持っているとされる武器は、全部「使えば強い」という条件付きだった。

使わないまま持っている強みは、強みとしてカウントできない。そこに気づいてから、私は「30代は強い」という言葉を素直に喜べなくなった。強いのはあくまで、動いた30代だ。日曜の夜にブログを閉じる私は、その強さの外側にいる。

「遅い」を年齢と行動に切り分けると、正体が見えた

私の「遅い」を2つに分けてみる。ひとつは年齢の遅さ。これは30代でも移住できるのだから、実は遅くない。もうひとつは行動の遅さ。英語ゼロ、貯金ゼロ、申請の下調べもゼロ。この2つ目こそが、私が本当に抱えている遅れだった。

年齢の遅さは、記事を読めば「大丈夫」と慰められる。行動の遅さは、誰も慰めてくれない。自分でしか埋められないからだ。上位記事が届かなかったのは、私の遅れが年齢側ではなく行動側にあったからだと、ようやく腑に落ちた。


年齢の一般論に溶かされている、たったひとつの本物の締切

移住ビザには複数のルートがある。就労ビザ、投資ビザ、リタイアメントビザ、配偶者ビザ。多くの記事はこの選択肢の多さを「だから焦らなくていい」の根拠にする。道はいくつもある、だから30歳をそんなに気にしなくていい、と。この言い方が、私にとって一番危なかった。

選択肢を並べられると、どのドアもまだ開いているように錯覚する。でも実際には、開きっぱなしのドアと、決まった日に閉まるドアがある。就労ビザや投資ビザは、40代でも50代でも条件を満たせば申請できる。年齢の締切がゆるい。一方でワーキングホリデーだけは違う。

「申請時に30歳以下」という1行が、私の先延ばしに日付を打った

ワーホリの多くは、申請時点で18歳から30歳までという年齢制限がある。国によって細部は違うけれど、多くの協定国で「31歳の誕生日を迎える前に申請」が条件だ。この1行を初めて正面から読んだとき、背筋が冷えた。私は27歳。誕生月まで数えると、申請できる期間は数えるほどしか残っていない。

就労ビザや語学留学と違って、ワーホリは待ってくれない。私が日曜の夜にブログを開いて月曜に閉じるのを繰り返している間も、この日付は勝手に近づいてくる。「別ルートもあります」と選択肢のひとつに薄められていたこのドアだけが、私にとって唯一、確実に閉まるものだった。

31歳でも滑り込める国と、そうでない国がある

調べていくと、締切には国ごとの違いがあると分かった。オーストラリアやカナダのように制度が整っている国もあれば、条件がやや緩く31歳の申請を受け付ける協定国もある。いわゆるギリホリと呼ばれる滑り込みの余地が残っている場合もある。ただ、その余地も国と年によって変わるし、募集枠に上限がある国では埋まった時点で締め切られる。

年齢だけで安心していると、枠の締切という別の締切を見落とす。私の場合、行きたい国を決めて、その国の申請条件と枠の状況を今すぐ確認する必要があった。「まだ数年ある」と思っていた猶予は、国を絞った瞬間に想像より短くなった。

ワーホリを逃しても残るドアと、逃したら二度と開かないドア

もしワーホリの締切を過ぎても、就労ビザや語学留学、配偶者ビザといった道は残る。海外移住そのものが不可能になるわけじゃない。ここは正しく理解しておきたい。ただ、ワーホリという「働きながら、貯金が少なくても、職歴の条件なしに、まず現地で暮らしてみる」という体験は、31歳を過ぎたら申請できない。就労ビザは仕事のオファーが要るし、投資ビザはまとまった資金が要る。ワーホリだけが、私のような準備の薄い人間に開かれた入口だった。

だから私は、複数あるドアの中で、このひとつだけを別扱いにすることに決めた。他のドアはいつでも開けられる。このドアだけは、閉まる日が決まっている。優先順位は自動的に決まった。


「英語が固まってから」という順番が、私を5年止めた犯人だった

私がずっと信じていた手順はこうだ。まず英語をある程度話せるようにする、それから貯金を貯める、それが終わったらビザを調べて、準備が整ったら申請する。きれいな順番に見える。でもこの順番で並べた瞬間、いちばん最初の「英語をある程度」で私は永遠に足止めされていた。

去年の11月、意気込んで買った文法書がある。1週間で最初の30ページまで進んで、そこで止まった。3日坊主どころか、5日坊主だった。年始にはシャドーイングの音声教材をダウンロードして、通勤電車で聞くと決めたのに、聞いたのは最初の1週間だけ。TOEICの問題集は、模試を1回解いた時点でスコアの低さに気持ちが折れて、本棚の奥に押し込んだ。どれも「準備」の段階で止まっている。

準備完了の日は、待っていても来なかった

「英語が固まったら動く」の落とし穴は、固まる日が来ないことだ。どこまでできたら「固まった」と言えるのか、基準がない。日常会話ができればいい? 仕事で使えるレベル? 面接を英語で乗り切れるところ? どこに線を引いても、その線に届いたと自分で認められる日は来ない。私は2年間、その来ない日を待っていた。

準備が終わってから締切に向かうのではなく、締切を先に固定して、そこから逆算して準備する。順番を入れ替えるだけで、動きが変わった。締切という動かせない点があると、準備は「いつか」ではなく「あと何ヶ月で何を」に変わる。宙に浮いていた「ある程度」が、期限付きの具体的な数字に着地した。

締切を他人に握ってもらうと、後回しが効かなくなる

自分で決めた締切は、自分で延ばせてしまう。「今週は忙しいから来週から」を、私は何10回も自分に許してきた。だから締切を外に置くことにした。オンライン英会話の予約を先に入れてしまえば、その時間に相手が画面の向こうで待っている。予約を飛ばすには、キャンセルという能動的な操作が要る。放置では成立しない仕組みだ。

ネイティブキャンプのように予約なしで24時間いつでも話せるサービスなら、22時半に仕事から帰った日でも、寝る前の25分を英語に使える。私が続けられなかったのは意志の弱さもあるけれど、それ以上に「開始のハードルが高すぎた」からだ。教材を開いて、机に向かって、集中する。この儀式が面倒で先延ばししていた。スマホひとつで、ベッドの上から始められるなら、始める瞬間の重さがだいぶ違う。


27歳の私が、渡航までの12ヶ月を月単位で埋める

締切から逆算するなら、渡航予定日を仮に置くところから始まる。今から準備して、12ヶ月後に飛ぶ計画を立ててみる。漠然と「いつか」だったものが、月ごとの行動に割れると、途端に扱えるサイズになった。

12ヶ月前から9ヶ月前まで、英語と貯金の実額を見える化する

最初の3ヶ月は、英語を毎日触る習慣を作ることと、貯金の現在地を数字にすることに使う。英語は完璧を目指さない。25分でいいから毎日話す。話せなくてもいいから、口を動かして、相手の反応を受け取る。この期間の目的は上達というより「英語を生活に組み込む」ことにある。

同時に、口座の残高と毎月の貯蓄可能額を紙に書き出す。ワーホリの初期費用として、渡航費と当面の生活費で50万から80万は見ておきたい。今の貯金額と、月に貯められる額と、渡航までの月数を並べれば、間に合うかどうかが一目で分かる。足りないなら、支出を削るか副収入を作るか、対策を今から打てる。私が2年間やらなかったのは、この単純な引き算だった。

9ヶ月前から3ヶ月前まで、ビザ申請と現地の当たりをつける

この期間で、行きたい国のワーホリ申請条件を最終確認して、申請可能な時期が来たら実際に手続きに入る。国によっては募集開始と同時に枠が埋まるので、開始日を事前に把握しておく。申請には残高証明や健康診断が要る場合もあるので、必要書類を早めにリストアップする。

並行して、現地での仕事と住まいの当たりをつける。日系の求人サイトを眺めたり、シェアハウスの相場を調べたり。ここで留学情報館のような、現地の生活や学校選びまで相談できる窓口を使うと、自分ひとりで調べるより抜け漏れが減る。私のように何から手をつけていいか分からない人間には、道筋を一緒に整理してくれる相手がいるだけで、動き出しの速さがまるで違ってくる。

3ヶ月前から渡航まで、生活基盤を固めて英語を仕上げる

最後の3ヶ月は、航空券の確保、海外保険の加入、現地の初期滞在先の予約と、生活の土台を確定させていく。同時に、これまで積み上げた英語を実践寄りに寄せる。到着直後に必要になる場面、空港での受け答え、部屋を借りるときのやり取り、仕事の面接、そういう具体的な場面を想定して練習する。

この段階まで来れば、英語は「固まった」わけじゃなくても「渡航に足りる」ところまでは来ている。完璧じゃなくていい。現地で伸ばせばいい。私がずっと待っていた「完成」は、実は渡航後に持ち越せるものだった。渡る前に必要なのは、最低限やり取りできる土台と、間に合った申請だけだ。


動けなかった私が、今夜だけ変える最初の1つ

ここまで逆算してきて、最後に残るのは「で、今夜何をするか」だ。12ヶ月の計画を眺めて満足して寝てしまえば、私はまた月曜の朝に全部忘れる。計画を立てた夜こそ、いちばん危ない。分かった気になって動かない、あの安心が戻ってくるからだ。

だから今夜やることは、ひとつに絞る。完璧な計画の完成を待たない。行きたい国のワーホリ申請条件を検索して、自分の誕生日から逆算して、申請できるタイムリミットが何月なのかを紙に書く。それだけでいい。数字で締切が見えた瞬間、後回しは「あと何ヶ月しかない」に変わる。

締切を紙に書いたら、次は口を動かす場所を確保する

締切が見えたら、そのまま英語に触れる場所を確保しておく。無料で試せるオンライン英会話に登録して、明日の夜の25分を仮に押さえる。登録という操作を今夜のうちに済ませてしまえば、明日の私は「登録する」というハードルを越えなくていい。過去の私はいつも、この最初のハードルの前で引き返してきた。今夜のうちに越えておく。

相談窓口に「今の私が、何歳まで、どの国のワーホリに申請できるか」を問い合わせるメールを下書きしておくのも効く。自分で調べると条件の見落としが怖いけれど、詳しい人に確認すれば一発で分かる。私が2年間ひとりで抱えて動けなかった疑問は、聞けば数日で片づく類のものだった。

この夜を、いつもの日曜で終わらせない

これまでの私は、日曜の夜に移住ブログを開いて、少し夢を見て、月曜に現実へ戻っていた。その往復に、進歩は一度もなかった。今夜違うのは、締切を紙に書いて、明日の英会話を予約して、相談メールの下書きを残すところまでやることだ。夢を見るだけの夜と、日付を刻む夜は、翌朝の私が別人になる。

27歳の後回しを、そのまま30歳の後悔に横滑りさせたくない。ワーホリのドアが閉まる日は、私が動いても動かなくても近づいてくる。だったら、動いた分だけそのドアに手が届く。遅いのは年齢じゃなかった。開けられるドアがあるのに、開けようとしなかった今日までの私だった。それを終わらせるのは、大げさな決意じゃなく、今夜の小さな1つで足りる。


▶ さくらが確かめた・次の一手(すべて無料)

→ ネイティブキャンプ留学で留学費用の無料見積もりを取る

→ 留学情報館で無料カウンセリングを申し込む

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます(PR)

コメント

タイトルとURLをコピーしました