150万用意しても渡航日の英語力がゼロ円扱いされるから貯金が溶ける

海外留学・ワーホリ

スマホの電卓アプリに「1500000 – 820000」と打ち込んで、残りが68万だと確認する。この動作を私は何回繰り返してきただろう。給料日のあと、家計簿アプリを開いて、貯金の欄に増えた数字を見て、あと68万でワーホリの目標150万に届くとつぶやく。土曜の昼、ソファに寝転がって天井を見上げながら、来年の今ごろにはメルボルンにいるかもしれないと考える。そのあいだ英語の勉強は1ページも進んでいない。

費用の記事は何十本も読んだ。円の総額、内訳、相殺の式。頭に入りすぎて、もう暗唱できる。それなのに、渡航した初日に自分の口から英語が出るかどうかだけは、どの記事も教えてくれなかった。今日はその1点を、自分の言葉で解いてみる。


電卓に打ち込んできた150万という数字は、出発できるかどうかしか測っていない

150万を貯めれば行ける。この文章を私はずっと信じてきた。でも冷静に言葉を分解すると、150万が保証してくれるのは航空券を買えて、ビザ代を払えて、最初の家賃を入れられて、数か月の生活費を持って現地に降り立てる、そこまでだ。降り立ったあと、その150万が現地で目減りしていくのか、それとも働いた収入で減らずに済むのかは、通帳の数字とは無関係な場所で決まる。

費用記事の相殺の式を思い出す。月160時間働けば約32万、8か月で約256万。総支出からこれを引くと、自己負担が55万から73万に収まる。数式としては美しい。ただ、この256万には「時給1790円の仕事に採用された私」という主語が隠れている。その主語が本当に私になるかどうかは、150万をいくら数えても出てこない。

私が2年かけて確認し続けてきたのは、出発できる資格を持っているかどうかだった。そこには合格した。けれど、出発したあとに稼げる側で立てるかどうかという、もっと残高を左右する試験のほうは、一度も受けていない。受けていないから合否も知らない。知らないまま貯金だけが68万手前まで来た。

「あと68万」を数える時間に、面接で使う英文は1つも増えていない

去年の秋、家計簿アプリで貯金が820000に届いた日、私はスクリーンショットを撮って自分に送った。達成感があった。同時に、その週の英語学習時間はゼロだった。翌週もゼロ。貯金の数字は増えていくのに、現地のカフェで「What can I get for you?」と聞かれて答えられる自信は、2年前と1ミリも変わっていない。

お金は積み上がる。積み上がったことが目に見える。だからつい、そこばかり触りたくなる。英語は積み上がったかどうかが数字で見えない。見えないから後回しにする。この逆転が、私の2年を丸ごと使い切った。150万の目標額を先に置いたせいで、私は測りやすいほうだけを毎月なでていた。

貯金は出発のパスポート、収入は滞在の血液

150万は入国審査で見せる残高証明のようなものだ。持っていれば入れる。でも入ったあと、その血液を自分で作り出せなければ、体は貯金を食いつぶして痩せていく。現地で新しい収入という血液を毎月作れる人は、150万にほとんど手をつけずに帰ってくる。作れない人は、150万を1年かけて溶かして帰ってくる。同じ入り口をくぐった2人が、まったく違う体重で戻る。


費用の内訳表は精密なのに、稼ぐ側に立てるかどうかの欄だけ空白のまま配られる

私が読んだ記事は、どれも本当に細かかった。ビザ申請670豪ドルで約7万、海外保険が年20万から30万、片道航空券が5万から25万、月の生活費18万から22万。値札の貼り方が丁寧で、信頼できる気がした。「リアル」と名乗るだけの精度はあった。

ただ、その値札の列を上から下まで見ても、渡航初日の私の英語力に貼られた札だけがない。無料でもゼロ円でもなく、そもそも項目として存在しない。存在しないから、読者はそこにコストがかかっていることに気づかない。気づかないまま、円の総額だけを握りしめて出国する。

語学学校の月12万は、話せるようになるまで延び続ける

語学学校3か月で月12万、と書いてある。私は最初これを固定費だと読んだ。3か月通えば終わる支払いだと。でも現地の体験談を集めていくと、話が違ってきた。3か月通っても面接で口が動かず、もう3か月延長する人がいる。延長したぶんの授業料はどこにも計上されていない。話せるようになる日が来るまで、この月12万は静かに増殖する。

私みたいに日本でほぼ話してこなかった人間が、現地の学校に入っていきなり口が開くとは思えない。最初の数週間は聞き取れず、周りの南米やヨーロッパの生徒がどんどん発言していくのを黙って見ている自分が、簡単に想像できる。その黙っている期間ぶんだけ、費用記事の12万は膨らんでいく。

時給1790円は「採用されたら」の値段で、採用が保証された値段ではない

オーストラリアの最低時給が24.95豪ドル、約1790円。カジュアル雇用なら25%上乗せ。この数字を見て私は毎回、日本の時給と比べて気持ちが上がった。でも冷静に読めば、これは仕事に就けた人がもらう額であって、就けることの保証ではない。

時給1790円のカフェやレストランの求人は、当然ながら英語での面接がある。オーダーを聞き、客と雑談し、同僚と連携する。ここで固まる人は採用されない。採用されなければ、1790円は1円も入ってこない。かわりに行き着くのが、日本人経営の店の時給の低い皿洗いや、郊外のファームで話さずに済む単純作業だ。そこの収入は、費用記事の256万の式には乗らない。

最初の3か月が空白だと、円安や物価より速く貯金が減る

円安が進んだ、物価が上がった、だから150万では足りない。記事はそう締める。それも事実だろう。でも私の貯金を最速で溶かすのは為替でも物価でもなく、仕事が見つからないまま過ぎていく最初の3か月だと思う。家賃と食費で月20万が出ていくのに、収入がゼロ。3か月で60万が消える。この60万は、円安がどうこう以前の、稼げなかったことによる純粋な流出だ。

逆に、着いて2週間でカフェの仕事を取れた人は、この3か月をほぼプラスで乗り切る。同じ物価、同じ為替、同じ家賃。違うのは口が開くかどうかだけ。その差が、月20万の流出か月10万の余剰かを分ける。


同じ150万を持って行った先輩2人が、帰国時に真逆の残高だった話

前の職場で仲が良かった2人の先輩が、時期をずらしてオーストラリアにワーホリで行った。仮にAさん、Bさんとする。2人とも出発前の貯金は150万前後だったと聞いている。ほぼ同じスタートライン。それなのに帰ってきたときの話が、まるで別の国の体験だった。

Aさんは行く前、平日の夜にオンライン英会話を毎日やっていた。私が誘ったランチで「昨日の先生がめっちゃ早口でさ」と笑っていたのを覚えている。Bさんは「現地に行けば嫌でも話せるようになる」と言って、出発まで日本語の生活を続けていた。当時の私はBさんの考えに近かった。行けばなんとかなる、と本気で思っていた。

着いて2週間で仕事を取ったAさん、3か月見つからなかったBさん

Aさんは到着して2週間ほどでシティのカフェに採用された。面接で緊張はしたけれど、日本で毎晩やっていた分、聞かれたことにとりあえず反応はできたらしい。時給の上乗せがつくシフトも回してもらえた。150万にはほとんど手をつけず、むしろ現地で貯金が増えていったと言っていた。

Bさんは違った。着いてから慌てて語学学校に入り直したけれど、面接に行くたびに頭が真っ白になった。「Do you have experience?」と聞かれて、Yesと言ったあとが続かない。3か月近く仕事が決まらず、そのあいだ家賃と食費で貯金が削れ続けた。最終的に日本人オーナーの店で低い時給の仕事を見つけたけれど、150万は帰国までにほぼ底をついた。

差を作ったのは出発前の数か月に口を動かしたかどうか

2人を分けたのは才能でも運でもなかった。出発する前の数か月、実際に英語で口を動かす習慣があったかどうか。それだけだ。Aさんは日本にいるうちに「英語で反応する自分」を作っていた。Bさんは現地でゼロから作ろうとして、その立ち上げ期間ぶんの貯金を失った。

この話を聞いたとき、私は自分がBさん側だと気づいて背筋が冷たくなった。私も「行けばなんとかなる」派で、貯金だけ数えている。このまま150万に届いて出発したら、私はBさんの3か月を、いや、もっと長い期間をなぞることになる。

150万をどう溶かさないかは、現地に着く前に半分決まっている

帰国時の残高は、現地での過ごし方だけで決まるわけではなかった。飛行機に乗る前の準備段階で、すでに半分は決まっている。日本で口が動く状態を作った人は、着いた瞬間から稼ぐ側の入り口に立っている。作らなかった人は、着いてから作り始めるぶんだけ、貯金を燃やす時間が長くなる。


渡航日に稼げる側へ立つには、貯金を数える前に「口が動くか」を測る

ここまで分解して、私がやるべきことの順番が入れ替わった。150万を貯めてから英語を考えるのでは間に合わない。150万を貯め始める前に、いや、貯めながら並行して、渡航日に稼げる側に立つための口を先に作る。その最初の一歩は、いま自分の口がどこまで動くのかを測ることだ。

私はこれまで、自分の英語力を「TOEIC何点」みたいな数字でしか考えてこなかった。でも面接で問われるのは点数ではなく、聞かれたことにその場で音を返せるかどうか。この反応速度は、実際に話してみないと分からない。読むだけ、聞くだけの勉強では一生測れない。

まず現地の面接や接客の場面を想定して、今の自分の口を試す

オンラインで海外の講師と話せるサービスを使えば、日本にいながら「What brings you to Australia?」のような質問に自分がどう詰まるかを、今夜にでも確かめられる。留学に特化したプランなら、現地の生活や仕事探しを想定した練習ができる。まず無料で見積もりや体験を取って、今の口が何秒で固まるかを知るところから始める。

→ ネイティブキャンプ留学で留学費用の無料見積もりを取る

ここで大事なのは、うまく話せなくて落ち込むことではない。むしろ詰まった箇所こそが、出発前に埋めるべき空白の場所を教えてくれる。Bさんが現地の面接会場で初めて味わった真っ白を、私は日本の自室で、失うものが1円もない状態で先に体験できる。この順番の差が、帰国時の残高の差になる。

渡航までの数か月を「稼げる英語」に接続する相談をする

口の現在地が分かったら、次は出発までの期間をどう使うかを一緒に組み立ててくれる相手がほしい。留学エージェントの無料カウンセリングでは、費用の話だけでなく、渡航前の準備から現地での仕事探しまでを見据えた道筋を相談できる。私が2年間かけて避けてきた「稼げる側に立つための準備」を、具体的な予定に落としてもらう。

→ 留学情報館で無料カウンセリングを申し込む

カウンセリングで聞くべきは、150万で足りますかという定番の質問ではない。渡航初日に時給の高い仕事に応募できる状態になるには、いまから何をどの順で進めればいいか。この問いを持って行くと、返ってくる答えが費用記事とはまったく違う手触りになる。

貯金の目標額を1度カレンダーから外して、英語の予定を先に入れる

私がこれから変えることは1つだけだ。家計簿アプリで貯金を数える時間を、そのまま英語で口を動かす時間に振り替える。あと68万という数字は、勝手に月々の給料から積み上がっていく。私が毎日なでる必要はない。かわりに、平日の夜22時半から25分、海外の講師と話す予定をカレンダーに固定する。

2年間、私は測りやすいほうばかり触ってきた。貯金は目に見えて増えるから安心できた。でも安心と、渡航日に稼げる側に立てることは別だった。150万が溜まる日を待つより先に、今夜、口が何秒で固まるかを測る。そこから、私のワーホリの残高は変わり始める。


30歳まであと3年、いま試すか、また電卓を叩くか

27歳の私に残された時間は、ワーホリのビザ年齢を考えれば3年ほど。この3年をまた貯金の数字を眺めるだけで使えば、150万は溜まるかもしれない。でもBさんのように、その150万を現地で溶かして帰ってくる自分が、はっきり見える。溜めたお金を、話せないことを理由に手放す。それが一番もったいない。

逆に、今夜30分だけ、海外の講師の前で口を動かしてみる。詰まってもいい。むしろ詰まるべきだ。その詰まりが、出発前に埋めるべき場所を全部教えてくれる。Aさんが日本で毎晩やっていたのは、天才の勉強法ではなく、この地味な口の運動だった。

150万という数字は、私を出発ゲートまでは運んでくれる。でもゲートの向こうで貯金を溶かさずに立っていられるかは、いま私が電卓を置いて、かわりに口を開くかどうかにかかっている。あと68万を数える指を、今日はキーボードに乗せ替える。それが、私が2年かけてようやくたどり着いた最初の一手だ。

まず今の口を測る。次に出発までの道筋を相談する。この2つは両方とも、1円も払わずに今日始められる。150万が溜まるのを待つ理由は、もうどこにもない。


この記事を書きながら、私は自分のスマホの電卓アプリを閉じた。かわりにカレンダーを開いて、今夜22時半に「英語で口を動かす」と入力した。2年間で初めて、貯金以外の予定をワーホリのために入れた夜だった。同じ150万を持って、Aさんの側で立つか、Bさんの側で立つか。それを決めるのは通帳の数字ではなく、今日の私が口を開くかどうかだと、やっと腹落ちしている。


▶ さくらが確かめた・次の一手(すべて無料)

→ ネイティブキャンプ留学で留学費用の無料見積もりを取る

→ 留学情報館で無料カウンセリングを申し込む

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます(PR)

コメント

タイトルとURLをコピーしました